弁護士・税理士 岩本尚光|介護・障害福祉事業者の法務と税務を一つの窓口で
介護事故の初動と報告
転倒・誤嚥・離設・誤薬などの介護事故が起きた直後は、救護、連絡、記録、報告が短い時間に重なります。順番を決めておくと、現場の判断が早くなり、あとの説明にも一貫性が出ます。弁護士の立場から、事故直後の数日間に何をどの順で行うかを整理しました。
Worriesこんな疑問に答えます
まず何をするのか
利用者の救護と医療機関への連絡が最初です。そのうえで管理者に連絡し、ご家族と市町村への連絡を進めます。順番を事前に決めておくと迷いません。
市町村にはどう報告するのか
厚生労働省の標準様式を使う自治体が多く、期限は自治体ごとに決まっています。第一報を先に出し、詳細は追加で報告する運用が一般的です。
ご家族に何を話せばよいのか
分かっている事実と、まだ分からないことを分けて伝えます。お詫びと法的責任の認否は別のものです。
記録はどこまで書くのか
時刻、場所、発見者、状態、処置、連絡先を時系列で書きます。推測や責任の有無は書かず、事実に絞ります。
Flow事故直後から数日間の流れ
- 救護と医療機関への連絡
バイタルの確認、応急処置、必要なら救急要請を行います。搬送に同行する職員と、事業所に残る職員を分けます。
- 管理者とご家族への連絡
管理者に第一報を入れ、ご家族には事故の事実と現在の状態、搬送先を伝えます。運営基準では、ご家族等への連絡と事故の状況・処置の記録が求められています。
- 市町村への事故報告
標準様式にしたがって第一報を出します。期限は自治体ごとに異なるため、静岡県内でも事業所の所在地の市町の定めを確認します。
- 保険会社への通知
賠償責任保険の通知条項を確認し、請求の有無にかかわらず事故の発生を知らせます。通知の遅れが支払いに影響することがあります。
- 職員の聞き取りと記録の整理
関わった職員から一人ずつ聞き取り、本人の言葉のまま記録します。介護記録、ケアプラン、アセスメントと照らして時系列を整えます。
- ご家族への説明と再発防止
分析の結果を説明し、今後のケアの方針を話し合います。あわせて手順やマニュアルを見直し、職員に共有します。

Basics記録と説明で押さえたいこと
事実と推測を分ける
「転倒した」は事実、「ふらついたのだろう」は推測です。推測を書く場合は推測と分かる書き方にします。あとで損害賠償の争いになったとき、記録の信用性を左右します。
処置と連絡を残す
誰が、何時に、何をしたか、誰に連絡したかを残します。民法415条・709条の責任が問われる場面では、事故後の対応の適切さも見られます。
お詫びと責任は別
つらい思いをさせたことへのお詫びは、法的責任を認めることではありません。一方で、原因が分からないうちに「職員のミスです」と言い切ると、話し合いが難しくなることがあります。
再発防止を記録に残す
原因の分析と対策を文書にし、職員に周知した日付を残します。運営指導では事故の記録と再発防止の取組みが確認されます。
Work弁護士・税理士がすること
- 事故直後の電話相談(連絡の順番、記録の残し方、ご家族に言ってよいこと・避けること)
- 市町村への事故報告書の下書きの点検
- ご家族への説明内容の整理と、説明の場への同席
- 職員の聞き取りの進め方の助言と、処分を検討する場合の就業規則上の手続き
- 賠償責任保険の会社との調整、損害賠償請求への回答
- 示談金・保険金の経理処理と、再発防止のための記録様式の見直し
Caseよくある事例
夜間に居室で転倒した利用者について、報告書の書き方で迷った
静岡市内のグループホームで、夜間の巡視の合間に利用者が居室で転倒し、翌朝に痛みを訴えて受診したところ骨折が分かりました。発見時の状況が職員によって少しずつ異なり、報告書にどう書くか迷ってご相談を受けました。職員ごとの聞き取りを本人の言葉のまま残し、報告書には確認できた事実と処置だけを時系列で書き、原因は分析中として市に第一報を提出しました。ご家族には分かっている事実を説明し、分析結果の報告日を約束。巡視の記録様式を改め、賠償責任保険の会社にも通知しました。
※よくあるご相談をもとに構成したもので、特定の実際の事件ではありません。
FAQよくある質問
市町村への報告の期限はいつまでですか
軽いけがでも報告が要りますか
ご家族に原因を聞かれたら、どこまで答えますか
職員が事故の状況を正直に話してくれるか不安です
保険会社にはいつ連絡しますか
事故報告書を弁護士に見てもらう意味はありますか
事故が起きたら、報告書を出す前にひと声かけてください
事故報告書の下書き、介護記録、ケアプランをお手元に。報告の内容とご家族への説明の順番を、その場で一緒に整理します。事業者の初回相談は60分無料です(2回目以降は30分5,500円・税込)。
事業者の初回相談は60分無料(2回目以降は30分5,500円・税込)。顧問契約を前提にしない相談でも構いません。事務所:静岡市葵区伝馬町9-7 塚本ビル5階A(JR静岡駅から徒歩約5分)。ご相談は予約制で、来所・オンライン(Zoom)・電話のどれでも。夜間・土日の予約もできます。
弁護士・税理士 岩本尚光(弁護士法人HOPE法律事務所/静岡県弁護士会/税理士登録)|事務所:〒420-0858 静岡県静岡市葵区伝馬町9-7 塚本ビル5階A(JR静岡駅から徒歩約5分)|対応:静岡県内の介護・障害福祉事業者を中心に、オンラインで全国