障害者虐待防止法と通報義務

弁護士・税理士 岩本尚光|介護・障害福祉事業者の法務と税務を一つの窓口で

障害者虐待防止法と事業者の通報義務

障害者虐待防止法は2012年に施行され、障害者福祉施設従事者等による虐待について、発見した者の市町村への通報義務と通報者の保護を定めています。疑いを事業所内で終わらせず、通報と事実確認を並行して進めることが、利用者と職員の双方を守ります。弁護士の立場から、法律の枠組みと事業者の手順を整理しました。

事業者の初回相談60分無料(2回目以降は有料) 5類型と通報義務の考え方 委員会・研修・身体拘束の体制 法務と税務を一つの窓口で

Worriesこんな疑問に答えます

どこからが虐待なのか

身体的虐待、性的虐待、心理的虐待、放棄・放置、経済的虐待の5類型です。三要件を満たさない身体拘束も該当することがあります。

誰が、いつ通報するのか

虐待を受けたと思われる障害者を発見した者です。職員個人にも義務があり、事業所の確認を待たずに通報できます。事業者としても疑いの時点で市町村に連絡します。

通報した職員は守られるのか

通報者は法律で保護され、通報を理由とする不利益な取扱いは認められません。指針に窓口と流れを書き、研修で周知します。

体制として何が義務なのか

虐待防止委員会・研修・責任者の設置が2022年度から義務です。身体拘束等の適正化として記録・委員会・指針・研修が求められ、未実施は減算の対象です。

Basics法律の枠組み

5類型

身体的虐待、性的虐待、心理的虐待、放棄・放置(ネグレクト)、経済的虐待の5つです。利用者の金銭を同意なく使うことや、必要な支援をしないことも含まれ、職員に悪意がなくても該当することがあります。

16条の通報義務と通報者の保護

障害者福祉施設従事者等による虐待を受けたと思われる障害者を発見した者は、市町村に通報しなければなりません。通報した者は保護され、通報を理由とする解雇などの不利益な取扱いは認められません。

委員会・研修・責任者

虐待防止委員会の設置、職員への研修、責任者の配置が2022年度から義務です。委員会の開催と検討内容、研修の実施日と参加者を記録に残します。

身体拘束の三要件と記録

切迫性・非代替性・一時性のすべてを満たす場合に限られ、態様・時間・利用者の心身の状況・理由を記録します。委員会での検討、指針、研修が求められ、未実施は減算されます。

Flow疑いがあるときの手順

  1. 利用者の安全の確保

    疑いのある職員と利用者を離し、けがや体調の確認、必要なら受診を行います。

  2. 市町村への通報

    事業所内の調査を待たずに、疑いの時点で市町村の窓口に通報します。虐待と確定していない段階でも、「受けたと思われる」場合は通報の対象です。

  3. 事実確認と記録

    関係する職員から一人ずつ聞き取り、本人の言葉のまま記録します。支援記録、勤務表、身体拘束の記録と照らして時系列を整えます。

  4. 虐待防止委員会での検討

    事実確認の結果をもとに原因と再発防止策を委員会で検討し、議事を記録します。市町村の調査には資料を揃えて協力します。

  5. 職員への対応と再発防止

    処分を検討する場合は就業規則の手続きにしたがいます。指針と研修の内容を見直し、通報の窓口と流れを職員に改めて周知します。

Work弁護士・税理士がすること

  • 通報の要否の判断と市町村への説明の整理
  • 事実確認の進め方、聞き取りの記録様式、ご家族への説明
  • 虐待防止委員会の運営、指針、研修計画、身体拘束の記録様式の点検
  • 職員への処分を検討する場合の就業規則上の手続きと、労務トラブルへの対応
  • 指定権者の調査や運営指導への対応、改善報告書の作成
  • 減算や返還が生じた場合の決算への反映

Fee費用

  • 事業者の初回相談は60分無料です(2回目以降は30分5,500円・税込)。
  • 弁護士と税理士を兼ねる一人が、法務と税務を一つの窓口で扱います。

料金の一覧を見る ›

Caseよくある事例

グループホームで、職員の言動が虐待に当たるのではと別の職員から相談があった

静岡県内の共同生活援助(グループホーム)で、ある職員が利用者にきつい口調で叱責を繰り返しているという相談が、別の職員から管理者に寄せられました。管理者は事業所内で様子を見ようと考えましたが、ご相談を受け、心理的虐待の疑いとして市町村にその日のうちに通報することにしました。並行して職員ごとの聞き取りを本人の言葉のまま記録し、虐待防止委員会で原因と再発防止策を検討して市町村に報告しました。相談した職員に不利益が及ばないよう配慮し、指針に通報の窓口を明記しました。
※よくあるご相談をもとに構成したもので、特定の実際の事件ではありません。

FAQよくある質問

虐待かどうか判断がつかないときも、通報が要りますか
障害者虐待防止法16条は、虐待を「受けたと思われる」障害者を発見した者に通報義務を課しています。虐待と確定していなくても、疑いの段階で通報の対象になります。事業所内で調べて判断してからではなく、疑いの時点で市町村に通報し、事実確認は並行して進めます。
通報した職員が不利益を受けることはありますか
通報者は法律で保護され、通報を理由とする解雇などの不利益な取扱いは認められません。事業者としては、通報をためらわせないために、通報の窓口と流れを指針に書き、研修で周知しておくことが求められます。
虐待防止委員会は何をすればよいですか
虐待防止委員会・研修・責任者の設置は2022年度から義務です。委員会では、虐待の防止のための指針の整備、職員からの相談や事案の検討、再発防止策の決定と周知を行い、議事を記録します。開催の記録がないと、運営指導で指摘を受けることがあります。
身体拘束はどのような場合に認められますか
切迫性・非代替性・一時性の三要件をすべて満たし、記録を残した場合に限られます。委員会での検討、指針の整備、研修も求められ、これらを行っていないと減算の対象になります。三要件を満たさない身体拘束は虐待に当たることがあります。
虐待の疑いがある職員にはどう対応しますか
利用者の安全を確保したうえで、聞き取りは責任追及ではなく事実の確認として一人ずつ行い、本人の言葉のまま記録します。処分を検討する場合は就業規則の手続きにしたがい、市町村の調査にも協力します。
弁護士に相談する意味はありますか
通報の要否の判断、市町村への説明、事実確認の進め方、職員への対応、再発防止報告の作成を、法律の根拠に沿って整理することが目的です。事業所が説明できる形で対応するための相談です。事業者の初回相談は60分無料です(2回目以降は30分5,500円・税込)。

虐待の疑いは、事業所の中だけで抱え込まないでください

疑いの内容、関係する記録、指針と委員会の議事録をお手元に。通報と事実確認の順番を、その場で一緒に整理します。事業者の初回相談は60分無料です(2回目以降は30分5,500円・税込)。

事業者の初回相談は60分無料(2回目以降は30分5,500円・税込)。顧問契約を前提にしない相談でも構いません。事務所:静岡市葵区伝馬町9-7 塚本ビル5階A(JR静岡駅から徒歩約5分)。ご相談は予約制で、来所・オンライン(Zoom)・電話のどれでも。夜間・土日の予約もできます。

このサイトの内容は、2026年11月時点の一般的な情報です。結果は個々の事情によって異なり、特定の結果をお約束するものではありません。法令や運用は変わることがあります。
弁護士・税理士 岩本尚光(弁護士法人HOPE法律事務所/静岡県弁護士会/税理士登録)|事務所:〒420-0858 静岡県静岡市葵区伝馬町9-7 塚本ビル5階A(JR静岡駅から徒歩約5分)|対応:静岡県内の介護・障害福祉事業者を中心に、オンラインで全国